免疫細胞治療の選択基準を知る
「がん免疫細胞治療」は、再生医療としてこの分野において非常に注目されている最先端の治療方法のひとつです。
しかし、ひとえに「がん免疫細胞治療」といっても、きちんと再生医療に関する法律(再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全確保法)に従い、安全性確保を図るための申請基準、届け出や許認可手続きを行わず提供されているものもあります。
つまり、医療機関を探す場合、再生医療(再生細胞医療)としての「がん免疫細胞治療」を実施している医療機関がこの法に則り、治療を提供しているかどうかが非常に重要なこととなります。
1.再生医療等安全性確保法に基づき提供されているか
2014年11月、がんに対する免疫細胞治療などの再生医療の実用化をより安全・迅速に推進するための法律「再生医療等安全性確保法」が施行されました。
「再生医療等安全性確保法」に基づき、再生医療を提供する医療機関では、認定再生医療等委員会(厚生労働大臣認定)設置や、厚生労働大臣への定期報告など、法律に基づいた治療提供の手続について、提供する再生医療を人の生命及び健康に与えるリスクの程度に応じ、3分類にし、それぞれ必要な手続を定めています。
リスク分類については、第1種再生医療等には、iPS細胞や遺伝子を導入する操作を行った細胞を用いるもの、投与を受ける者以外の人の細胞を用いるもの等が該当する。第2種再生医療等には、培養した体性幹細胞を利用したもの等が該当する。
第3種再生医療等には、体細胞を加工等したリンパ球を用いるもの等が該当する。
再生細胞医療としての「がん免疫細胞治療」は、リスクが低い第3種に分類(下図)されていますが、高・中リスク同様に再生医療提供計画の作成された認定再生医療等委員会での審査・承認、加えて厚生労働大臣へ定期報告など各種手続きが義務付けられており、 「再生医療等安全性確保法」に基づき、届出を行っている医療機関により、安全性を確保した法の基に、再生細胞医療として「がん免疫細胞治療」は提供されています。
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- (※1) 「認定再生医療等委員会」とは、再生医療等技術や法律の専門家等の有識者からなる合議制の委員会で、一定の手続により厚生労働大臣の認定を受けたものをいい、
「特定認定再生医療等委員会」は、認定再生医療等委員会のうち、特に高度な審査能力、第三者性を有するもの。 - (※2) 厚生労働大臣への提供計画の提出の手続きを義務付ける。提供計画を提出せずに再生医療等を提供した場合は、罰則が適用される。
- ※厚生労働省 「再生医療について 1.再生医療等の安全性の確保等に関する法律 概要 再生医療等の安全性の確保等に関する法律について」より改変
2.日本再生医療学会の再生医療認定医なのか否か
再生医療の進歩、発展及び育成を図ると共に人類の健康増進と福祉の向上に寄与することを目的とした学術団体である日本再生医療学会が制度化している再生医療認定医であるか否かがとても重要です。
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3.検証型診療か、無検証診療かを見極める
YOKOHAMA宣言2025では「検証型診療」(データ蓄積・第三者レジストリ登録あり)と「無検証診療」(データ未整備)を区分しました。提供する医療機関が、患者ごとのデータを蓄積・公開する仕組みを持っているかを確認することが重要です。
日本再生医療学会が
2025年3月19日に採択した
「YOKOHAMA宣言2025」とは
- 宣言の概要と目的:
日本再生医療学会は2025年3月19日、第24回総会において「YOKOHAMA宣言2025―再生医療における科学的厳密性と倫理的責任を確立―」を採択しました。
この宣言は、未承認の免疫細胞治療やエクソソーム療法などが自由診療として広がる一方、十分な科学的検証や第三者によるデータ蓄積が行われていない現状への懸念を背景に策定されたものです。宣言では、未承認治療を「検証型診療」(データをレジストリに登録し、検証型研究を伴うもの)と「無検証診療」(科学的裏付けが不十分なもの)に区分し、透明性の確保を求めています。さらに、患者や市民との対話の促進、治療成績や情報の公開、国際的に信頼される臨床データの蓄積、規制の見直しなど八つの行動目標を提示しました。
目的は、患者が安心して治療を選択できる環境を整え、科学的根拠と倫理性を両立させながら、日本が再生医療の国際的な信頼性とリーダーシップを強化することにあります。
4.治療実績・データ公開の有無
その施設が どれくらいの症例数を扱ってきたか、治療成績を学会や論文で発表しているかを確認してください。「多数の実績」とうたっていても、公開データがない場合は信頼度は下がります。
5.審査・体制、所属学会の確認
認定再生医療等委員会は、再生医療等提供機関の実施する再生・細胞医療の倫理性、安全性、及び継続の妥当性等を審査するための委員会です。この認定再生医療等委員会による再生医療等提供基準に照らした再生医療等提供計画の審査や法的な義務がある厚生労働大臣への定期報告等といった体制が整っているかどうか。
医師が専門学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本再生医療学会、免疫学会など)に所属し、専門性に基づいて治療を行っているか。
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